サッカーにおいて怪我はつきものであり、仕方がないものとされていますが、それは本当なのでしょうか?
- 怪我をするのは筋力が足りないから。
- 弱い部分を鍛えることでカバーするから。
- 仕方がない、運が悪かったから。
など、怪我に対する世の中の認識は上記以外にも様々なものがあると思います。
予防のために行われるトレーニングは多種多様であり、どれが自分に適しているものかわからない方も多いのではないでしょうか?
捻挫や軽度な肉離れなら、ほぼ全てのサッカー選手が経験済みだと思います。復帰まで何週もかかるような重度の怪我も仕方のないこと、運が悪かったとされているのが現状です。
もし、怪我の原因は運でも筋力不足でもなく、他にはっきりとした原因があり、対処も可能であるとしたらどうでしょうか?
これら様々な怪我について、私たちが行う「筋肉チューニング」の視点からお伝えしていきます。
私たちは捻挫や肉離れなどの怪我を「筋肉」が硬くなったことで起こる血行不良(筋拘縮)が主な原因としています。
筋肉チューニングとは、そういった状態の筋肉を「解除」ゆるめることで血流を促進し、怪我や打身、打撲などにより硬くなった筋肉を本来持っている柔軟性やしなやかな状態の筋肉に戻す徒手技術です。
筋肉チューニングについて3つの項目に分けて順を追ってご説明します。
「筋拘縮」とは?
「筋拘縮」とは強度の高いプレーや日常生活の疲労の蓄積などで筋肉が硬くなることです。硬くなった筋肉は太く・縮むため周囲の毛細血管を圧迫します。そうすることで血行不良が起こされ、血液が届きにくくなります。筋肉は衝撃や負荷でちぎれることがないように、緊急時には縮むことで体を守ろうとします。捻挫や打撲などをはじめとした怪我や接触プレーによる負傷も、筋肉に急な力が加わったことでちぎれないようにするためにシートベルトがロックするようにガチッと縮みます。これは元々体に備わっている守る仕組みです。
筋拘縮が蓄積すると縮こまった状態が続くので筋肉がスムーズに伸びることができず、関節の可動域が制限されます。常に力んだような状態になるので動きにしなやかさもなくなります。筋肉に柔軟性があり、関節の可動域も十分であれば、接触プレーでもらう衝撃をうまく逃すことが可能です。怪我のリスクが減り、プレーにもしなやかさが生まれるので、筋拘縮が少ない状態をキープすることが大切です。 痛みが出る主な原因は、筋肉が硬くなったことで起こる血行不良です。この時に血流を改善するために血管を拡張する物質が分泌されるのですが、痛みを感じる作用もあるため腰痛などの慢性痛につながっていきます。
筋肉を柔らかく保つにはエネルギーが必要
筋肉を良い状態に保つには血流を促進することが必要ですが、それはエネルギーが組織(筋肉)に届けられるからです。筋肉は物理的な接触による衝撃や負荷に対して「縮む」ことで体を守ろうとする仕組みがありますが、この時多くのエネルギーを使用します。
寒い時に体を縮めたり、びっくりした時に体に力が入る時もエネルギーを使います。それと同じように、筋肉チューニングによる筋拘縮を解除する(ゆるめる)作業にもエネルギーが必要になります。施術中は何かしてもらうことはなく寝てもらうだけですが、筋肉がゆるんでいくことで体内のエネルギーを消費するため、施術後はお腹が減ったり、眠くなったりすることがあります。
質の悪い筋肉の硬さ(筋拘縮)は筋肉チューニングによって解除しなければ、いくら質のいいエネルギーや多くのエネルギーを摂っても血が届かない場合もあります。だからこそ、筋拘縮を解除する筋肉チューニングが必要になります。
試合や練習などはエネルギーを多く消費するため、動いた後の栄養摂取は大切になります。日常的にどのような食事を行うかで筋肉の回復速度や質が大きく変わります。ゆるむためのエネルギーが少なければどれだけ施術を行っても筋拘縮は取りきれないのでタンパク質をはじめとする栄養補給は大切です。
練習中や試合中に足が攣ってしまうことはないでしょうか?これは筋肉が硬くなったことで栄養が届きにくくなってしまったこと、日常的に栄養不足や偏った食事を行うことで十分な栄養が摂れなかったことが原因です。筋肉をゆるめるためにもエネルギーが必要になるので、アスリートは特に運動後の栄養摂取は必須です。良いものを取り入れることはもちろんですが、減らせるものも合わせて探すことで変化は早くなっていきます。
筋トレよりも筋肉チューニング+栄養を意識しよう!
怪我の予防のために行う筋トレや部位トレーニングは様々ありますが、筋肉は本来柔軟性がありしなやかであることが大切です。サッカーは全身運動なのでシチュエーションごとに様々な筋肉が連動することでイメージ通りの動きをすることができます。筋トレは特定の動きのみ繰り返す、特定の部位を鍛えるものが多く、元々持っている体のバランスを崩す可能性があります。筋トレにより筋肉組織が浮腫という報告もあるので、浮腫がある状態の筋肉では筋肉をいい状態に保つための十分な血流も阻害されます。血流を確保するために浮腫を改善するための適切なケアをしなければ様々な弊害が起きる可能性もあります。
さらに、筋トレは特定の方向に同じ動作を繰り返すことで目的の部位を鍛えるものが多いですが、実際の試合では同じ動作をするシーン少ないと思います。意図的な動きよりも、意図しない動きや予期せぬ接触が頻発することが当たり前ではないでしょうか?元メジャーリーガーのイチロー選手も「元々持っているバランスを崩してはいけない、野生動物は筋トレしない」と当時の稲葉監督との対談で語っています。
また食生活も非常に重要です。先ほどもお伝えしましたが、筋肉チューニングでは筋拘縮が蓄積した筋肉を解除する(ゆるめる)ことで、筋肉本来が持つ柔らかさに戻していく徒手施術です。体を守るために縮む時だけでなく、ゆるむ際にも多くのエネルギーを必要とします。
- 日頃の食事が偏っている。
- 外食やコンビニのお弁当やお惣菜で済ませる事が多い。
- ファストフードやお菓子、ジュースなどを普段から摂る習慣がある。
食事や間食で体に悪影響を及ぼす精製糖質や食品添加物、人工甘味料が体内に蓄積すると筋肉の質も低下し、ゆるみにくくなります。更に、それを体から排出するためにエネルギーも消費するという悪循環になります。
理想は力を抜いた状態でマシュマロのような感触や赤ちゃんのようなふわふわな筋肉をキープすることです。タンパク質を軸とした適量糖質高タンパク質食を実践しながら、プレーによって蓄積した筋拘縮を解除していくことが怪我を少なく、パフォーマンスも上げていくために必要です。
下のURLは、栄養改善を行う上で必須の栄養素となる「タンパク質」についての記事になります。筋肉チューニングによって筋拘縮を解除しながら、栄養改善を行うことで柔軟性がありしなやかな筋肉に戻すことができます。怪我をする原因がハッキリすれば後は行動あるのみです。筋肉チューニングは怪我をせずパフォーマンスも上げていくために『体(筋肉)の再生と再活性化』に必要な要素が詰まった徒手技術です。
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